「さて、と。みんな揃ったことだし……」
こほんと紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)が咳払い。
「今日の会議を始めますか」
『会議?』
何も聞かされていない一年生、佐織と夕姫さんが見事にハモった。
「……今日、何かありまして?」
生徒手帳に書き込んだはずのスケジュールと、壁に掲げられたホワイトボードを交互に確認し、夕姫さんが声を荒げて紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)に目をやった。
夕姫さんの思わぬ眼力に、紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)はうっと言葉を詰まらせてしまい、見かねた白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)が話を続けた。
「事前に言ってなくて悪かったわね。でも、日程的に今日しかないから、ごめんなさいね」
白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)に謝られては、さすがの夕姫さんもなす術(すべ)がないのか、すぐに表情を戻した。
確かに紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)の発案であれば、佐織とてある程度は身構えざるを得ない。
それほど突拍子もないことをしでかしてくれるのだ。
香津美さまに似て……。
それが、白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)も噛んでいるとわかれば、それなりに安心だ。抑止力となりうる方なのだから。
ただ、ここで佐織たちが失念していたのは、いつものように優しく微笑む黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)の、その笑顔の裏側だ。
三人の薔薇さまが結託して物事を進めることほど、下級生にとって恐ろしいことはないのだ。
もっとも、怪我とか文字通りの身の危険を感じるようなことは、さすがにないのだが。
「佐織ちゃん、夕姫ちゃん、今から所持品検査します」
『えっ?』
本日二度目のハーモニー。
どうやら、悪い予感が当たったようだ。
Théâtre de Paradis.
“ウァレンティーヌスのお節介”より
|